第2章作例紹介「本格派マルチウェイ入門機」

ミニコンポサイズの本機。壁から離してセッティングしても十分な低音が出るように設計されている
エンクロージャー内部には所狭しとネットワーク回路のボードが収まる。ユニットとの接続はファストン端子を使用。繰り返しの脱着にも対応する
A4オールカラー160ページ
価格 3,300円(税込)

自作スピーカー デザインレシピ集 マスターブック』の第2章、2Wayバスレフ型スピーカーの作例を紹介します。この作例はマルチウェイ型スピーカーの入門機です。正確な測定に基づいてエンクロージャーの容積とバスレフポートの設計を行っています。クロスオーバーは、位相やインピーダンス特性も考慮された本格的なネットワーク回路を搭載します。

ユニット

ユニットは、ツイーターにPeerlessの25mmリングドームツイーターXT25SC90-04。ウーハーに同メーカーの10cmウーハーNE123W-08を採用しています。

ツイーター XT25SC90-04

XT25SC90-04は、口径が25mmのツイーターユニットで、インピーダンスは4Ω仕様。周波数特性はかなりフラットで、使いやすいユニットです。

特許技術であるデュアルリングラジエーター振動板。磁気回路にはネオジム磁石を採用することもあり、実際には驚くほど小型のユニット

ウーハー NE123W-08

本書ではそれぞれのユニットには同じメーカーを採用するという条件を付けました。Peerlessブランドのウーハーにはフランジが円形でないモデルが多く、エンクロージャー製作の際には落とし込み加工が難しくなる欠点があります。NE123W-08は円形フランジで、ワイドレンジなフルレンジと言っても良さそうなユニットです。小型ユニットとしてはQtsが低めの製品で、最適なバスレフ型エンクロージャーの設計に向いています。このモデルは4Ωと8Ω仕様があり、今回は8Ω仕様を採用しました。

振動板はコーティングされたウッドファイバーが使用される。小口径であるものの、予想外の低音が出る
磁気回路部分のアップ。飛び出たボイスコイルが見える

エンクロージャー

エンクロージャーのサイズは全高270mm, 幅160mm, 奥行き204mm、板材は15mm厚を使用した、一般的な小型ブックシェルフです。今回はVituixCADのエンクロージャー設計機能を用い、測定したT/Sパラメーターからエンクロージャーの容積を算出しています(VituixCADの使い方についてはこちらの記事を参照してください)。

カットの終わった板材。それぞれ小さく、まるでキットのような出来。組み立てる楽しみがふくらむ。バッフルに貼り付ける薄板のみシナ合板を使って見た目の良さをアレンジした
クイックバークランプとコーナークランプで接着していく。小型のエンクロージャーなので接着作業の難易度は高くない

ネットワーク

ネットワークは4次のLinkwitz–Riley型(LR4)をターゲットスロープとした、3次の電気回路で構成されています。ARTAの擬似無響室測定の結果を元に、VituixCADでネットワーク回路のシミュレーションを行いながら設計することで、60Hz~22kHz(±3dB)と広帯域でフラットな軸上特性に仕上げました。

1台分のネットワーク回路はボード1枚に載せられる。セメント抵抗や電解コンデンサーを一切使用しない本格的なネットワーク回路。使っている素子の種類・定数は本を参照してほしい

バスレフポート、スピーカーターミナル

バスレフポート、スピーカーターミナルは全て国内のショップで入手できる市販品を使っています。スピーカーターミナルはシンプル構造を目的に、シングル接続タイプを選んでいます。吸音材は入手性の良さの面からフェルトを使用。分量や貼付け位置など詳細は本をご覧ください。また、本のP53-54には、この作例スピーカーに使用した全ての部品一覧を掲載しています。

タッピングビスを使ってスピーカーターミナルを固定している。バスレフポートはこの写真ではまだ装着が完全ではない。この後、無ショックハンマーで最後まで挿入する

オプションも掲載

本の中では、本機作例の「ツイーターレベル調整」「バスレフポートチューニング」の二つのオプションを提示しています。音質の好みによって、高域を上げたり下げたりするための抵抗の値と周波数特性シミュレーション結果を掲載。ツイーターの抵抗2本のうち1本のみを交換するだけで可能です。バスレフポートは長さの違いによる低域の違いを掲載しています。作例を作った後にも微調整をして楽しむことができます。

気になる音質は?

この作例スピーカーの音質については、本の中の「全方位レビュー」で著者5人がそれぞれ批評しています。マルチウェイ型スピーカーの入門的作例として位置付けられた本機は、驚くほど完成度の高いものでした。ぜひ本作例にチャレンジし、本格的理論設計がされたマルチウェイスピーカーの可能性を体験してみてください。



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