第4章作例紹介「トールボーイ型で迫力ある低域を」

A4オールカラー160ページ
価格 3,300円(税込)

自作スピーカー デザインレシピ集 マスターブック』では、第4章で2Wayトールボーイ型スピーカーの作例を紹介しています。この作例は、エンクロージャー容積を稼ぎやすいトールボーイ型の利点を生かし、2Wayバスレフ型スピーカーとは思えないほどの迫力のある低域を狙った設計となっています。

目次

ユニット

使用しているユニットは、WavecorのWF182BD10という18cmのペーパー/グラスファイバー混合振動板を用いたウーハーと、TW030WA09という30 mmのソフトドームツイーターです。

WF182BD10

ブックシェルフスピーカーと同等の設置面積とするべく、18 cm以下のユニットから最適なものを検討しました。WF182BD10には軽量かつ強靭なペーパー/グラスファイバー混合振動板が採用されています。さらに、fs はBefore Burn-inで33 Hzと十分に低く、大型のフェライトマグネットが搭載されているため、迫力ある低音が期待できます。Qes は0.37なので、EBP ( fs / Qes )は89.2とバスレフ向きで、本作例のようなコンセプトにマッチしたユニットです。

TW030WA09

TW030WA09は口径が30mmと、ツイーターとしては大きめな口径になっています。WF182BD10のように高剛性なコーンを採用したユニットは、Break-upのピークが高くなる傾向があります。この影響を最小限に抑えるため、クロス周波数を低く設定しやすい大口径ツイーターを選びました。

エンクロージャー

エンクロージャーのサイズは全高926 mm, 幅200 mm, 奥行き236 mmとかなりスリムな設計に仕上がっています。設置面積がブックシェルフ相当であり、スタンドが不要な直置きタイプです。テレビのサイドに置き、ホームシアター用として楽しむのもいいかもしれません。

今回はVituixCADのエンクロージャー設計機能を用い、測定したT/Sパラメータからエンクロージャーの容積やバスレフポートの長さ、直径を算出しています。エンクロージャー内部には2枚の補強板を設けることで、エンクロージャーの強度を向上させ、共振による悪影響の低減を狙っています。板材の数は片chあたり11枚と少し多めですが、是非チャレンジしてみて下さい。

ネットワーク

ネットワークはLR4をターゲットスロープとした、2次のフィルタで構成されています。ARTAの擬似無響室測定の結果を元に、VituixCADでシミュレーションを行いながら設計することで、±6 dB で32 Hz~26 kHz、±3 dBで40 Hz~21 kHzと広帯域でフラットな軸上特性に仕上げました。

スピーカーターミナル、バスレフポート、吸音材

スピーカーターミナルやバスレフポート、吸音材は全て国内のショップで入手できる市販品を使っています。スピーカーターミナルはバイワイヤリング接続が可能なタイプを選びました。詳細は本をご覧ください。P114-115にこの作例スピーカーに使用した全ての部品一覧を掲載しています。

気になる音質は?

この作例スピーカーの音質につきましては、本書内の「全方位レビュー」にて、著者5人がそれぞれ批評しています。また、スピーカーの周波数特性から、ある程度の予想がつく読者もおられるかもしれません。本作例の目標である、「迫力ある低域」については十分に満たす結果となりました。ぜひ本作例にチャレンジし、体験してみてください。

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