3章作例スピーカーをご購入頂いた新井俊一様からレビューをいただきました。新井様はこの作例にフィットした特注スピーカースタンドを導入され、満を持してのレビューとなりました。「自作でこれほどの高音質が達成できるというのは驚きです」とのお言葉は、我々マスターブック執筆チームにとって大変勇気づけられるものです。以下、ご本人の承諾を得て(本名も含めて)転載させて頂きます。
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自作スピーカー デザインレシピ集 マスターブック第三章の作例スピーカーを購入しまして、ようやく最低限の再生環境が整いましたので、レビューいたします。
作例スピーカーを購入した動機は、これまで自作スピーカー マスターブックの前二作を読み、大変面白かったので、実際の音を聞いてみたいと思ったこと、そして将来的に自作することも踏まえて勉強のため買ってみたいと思ったことです。
現在、作例スピーカーは寝室に設置し、壁から50cm、床から60cmほど離して設置しています。壁や床に近い状態だと、低音がかなり強く聞こえるため、このようにしています。しかしこの状態だと設置場所を大きく取るので、壁に近づけて、測定しつつイコライザで低音を減らすことを検討しています。
作例スピーカーは、非常にキレと臨場感のある低音が印象的です。
家にある他のスピーカー(Genelec 8331A)と比べると、臨場感があり、部屋全体が音に包まれている感じで、ライブハウスで聞いているようです。
いろいろ再生してみてとくに気に入った曲は、Mayte MartinのVeinte Anos、Dave Brubeck QuartetのTake Five (Digitally Re-Mastered 2009)です。
前者は、Mayte Martinの低い歌声に、パーカッションが鮮明に響き渡り、そのハーモニーが圧巻です。後者は、ドラムソロが驚くほど美しく迫力があります。どちらも非常に臨場感があり、まさに生演奏のようで、感動です。
このスピーカーは中高域も解像度高く伸びています。ただ高音域でごくたまに音がかすれるような感じを受けることがあり、私の組み立てや設置状況に問題がないかどうか、測定しながら調整してみたいと思っています。
定位はGenelec 8331Aに比べるとずっとゆるやかですが、普段の音楽鑑賞にはこれくらいで十分というか、こちらのほうが好ましいかもしれないという気がします。
私はオーディオ初心者のため、いろいろなスピーカーをきちんと聴いたことがあるわけではなく、比較対象が限られていますが、それでも自作でこれほどの高音質が達成できるというのは驚きです。かなりの高級スピーカーとも良い勝負ができるのではないでしょうか。
スピーカーのさらなる面白さにどんどんハマっていってしまいそうです。
新井俊一
『自作スピーカー マスターブック』シリーズ著者。AES(Audio Engineering Society)正会員。自作スピーカーと測定・クロスオーバーネットワーク設計に関するブログ「冬うさぎの晴耕雨読な日々」更新中。「MJ無線と実験」にスピーカー製作記事を連載中。