前回の投稿ではパッシブ型とアクティブ型の違いを説明しました。今回はVituixCADでアクティブクロスオーバーネットワークの設計を行う手順を解説します。また、実際に電気回路を実装するASPタイプではなく、デジタル演算処理ができるDSPを使うことを念頭に進めます。
目次
VituixCADのCrossover画面でアクティブクロスオーバーを組む
まず初期設定として「Options」の画面で、自分が使用するDSPの種類を選択します。
それでは画面を追いながら解説していきます。今回のモデルは『自作スピーカー エンクロージャー設計法 マスターブック』の表紙になっているScan-Speakの作例の測定データを元にしてシミュレーションします。
設計時の心構え
- ローパス・ハイパスはプリセット(BW、LR、Bessel/1次、2次、3次、4次など)から選択するしかない
- パラメトリックイコライザーやシェルビングフィルターを併用してスロープを合わせる
- パラメトリックイコライザーなどの設定可能な数の上限はDSPによって異なるので事前に確認しておく
- 最後にツイーターにディレイを入れてクロスオーバーの整合性を高める
アクティブクロスオーバーのポイント
- アクティブ型では、ゲインアップ(ピーク)の特性を作れる。これはパッシブ型にはない利点
- スロープを作る際にフィルターは多段階化して使うことでプリセットにはない間の特性を得られる(例えばLR2はクロス点は-6dB。BW2は-3dBだが、-5dBでクロス点を持つスロープは、どちらかのスロープにパラメトリックイコライザーを追加挿入することで実現できる)
- クロスオーバーはさまざまなフィルターの重ね合わせで実現され、その途中経過を問わない。DSPでもパッシブ回路並みの特性は実現可能。使い方を工夫するとさらに最適な結果を生む
次回は得られたフィルターの値をDSPに設定していきます。
『自作スピーカー マスターブック』編集者。