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正確な測定データがあれば、
素子の最適値はあっという間に決定できる
エンクロージャーに取り付けたツイーター、ウーハーの周波数特性とインピーダンス特性のデータが測定できたら、いよいよクロスオーバーネットワーク設計に取りかかることができます。もし測定がまだなら、「スピーカーの周波数特性を測定するには」に戻って、測定の準備をしましょう。
VituixCADが設計の相棒
この驚くべき最新ソフトが成し遂げてくれる画期的な結果とは!?
データを取り込む
ツイーターとウーハーの周波数特性とインピーダンス特性をVituixCADに取り込みます。
VituixCAD
https://kimmosaunisto.net
あなたが思いつくクロスオーバー周波数をまずは設定してみよう
ユニットの口径や周波数特性の状況を見ながらクロスオーバー周波数を決定します。実際どの周波数にするのが妥当なのかについては、一例として書籍『自作スピーカー デザインレシピ集 マスターブック』の5つの作例で各著者が検討をする部分を詳細に記載しているので、参考にしてください。
たった今、目標が定まりました。それは「ターゲットスロープ」と呼ばれます。
仕上がりをターゲットスロープに合致させるのが設計の秘訣
ターゲットスロープとは、ツイーター、ウーハーの音圧周波数特性の最終目標になる特性です。コイル、コンデンサー、抵抗などのネットワーク素子を使って、アコースティックスロープ(スピーカーから出てくる音圧)を、ターゲットスロープにできる限り合致するよう回路を設計するだけで良かったのです。
(ターゲットスロープは数学的に定められたスロープ(カーブ)で、オーディオ用途に使えるものは、たった数種類しかありません。それ以外のスロープをターゲットに用いても、スピーカーのクロスオーバーは正しく整合しません。残念ながら長年、日本の自作スピーカーシーンにおいては、この概念が正しく解説されてきませんでした。あなたが古い教科書や資料に惑わされずに、正しい理論を身につけて、最短の時間で結果が得られることを願います)
ターゲットスロープ(下図のピンク線)は一般的に、24dB/oct Linkwitz-Riley(LR4)と呼ばれる4次のフィルター特性に合わせます。ここでは例としてツイーター用にLR4@2kHzを設定しました。赤線がツイーターの裸周波数特性(アコースティックスロープ)です。

まるでゲームのよう。ネットワーク素子を画面上に配置して値を動かすと、クロスオーバー部分の周波数特性がリアルタイムに変化する。
ここではコイル1個、コンデンサー1個の回路構成を組んでみました。初めはターゲットスロープにあまり合致していませんが、コイルやコンデンサーの値を動かしていくと、徐々にターゲットスロープに合致していきます。

今までの苦労はなんだったのか…
オプティマイザー機能搭載で、素子の値は最適値にラクラク辿り着く
VituixCADでは回路設計を自動最適化するオプティマイザー機能が搭載されています。ターゲットスロープにできるだけ合致する素子の値の組み合わせは、自動で算出することができます。
ツイーターとウーハーの合成特性は、
あなたが描いた美しい結果になっているのでは?
ツイーターとウーハーがそれぞれターゲットスロープに合うようになれば、ある程度は合成特性がフラットになっているはずです。不十分な場合は、手動で素子の値を微調整します。

とうとうパーツを発注する時が来ました!
ネットワーク素子を購入して、あとは組み立てるだけです!

VituixCADで算出された素子をネットワークボード上に組み立てます。各素子は端子台にハンダ付けしたり、端子で圧着してネジ止めするなどします。ネットワークボードをエンクロージャー内で配線したら、無事完成です。
関連書籍発売中

クロスオーバーネットワークの理論的な詳細は、書籍『シミュレーションと測定による自作スピーカーのクロスオーバーネットワーク設計』、

『自作スピーカー デザインレシピ集 マスターブック』をご購入いただければ、VituixCADを使って設計した5つの作例のT/Sパラメーター、インピーダンス特性、板取り図、周波数特性を全て掲載。測定データは本書を購入いただいた方限定で、全て公開しています。






