VituixCADを使ったエンクロージャーシミュレーション

目次

概要

このページではVituixCADを使用したエンクロージャーシミュレーションをご紹介します。
基本的な操作方法に関しては、以下のマニュアルをご参照ください。
https://diy-audiospeaker.sub.jp/vituixcad-2_manual/

ユニットのデータを入力する

VituixCADのメニューのTools>Enclosureを選択すると、以下のウインドウが開きます。
まずはスピーカーユニットのデータを入力する必要があるのですが、2通りの方法があります。

測定したT/Sパラメータを使う

 一つ目はLIMPなどのソフトウェアを用いて測定したT/Sパラメータを用いる方法です。上図の赤枠で示した「Online data」のチェックを外し、その右側の緑色の(+)ボタンをクリックすることで、新たなスピーカーユニットを登録することができます。Add new driverのウインドウが開いたら、各パラメータを順次入力していきましょう。Limpで出力した場合は、T/Sパラメータのテキストをコピーし、ウインドウ左下のペーストのアイコンをクリックすることで自動的に入力されます。

インピーダンス特性から計算する

 もう一つの方法は、VituixCADでT/Sパラメータを算出する方法です。Add new driver内のCalculate T/S…をクリックすると、T/Sパラメータ計算用のウインドウが開きます。残念ながら測定はできませんので、LIMPなどで測定したデータを入力しましょう。

オンラインデータベースを使う

 インピーダンス特性を測定する環境が無い場合でも、VituixCADのオンラインデータベースを使用することが出来ます。上図の赤枠で示した「Online data」のチェックを入れることで、オンラインデータベースに接続されます。標準状態では膨大な数のユニットが表示されているので、適宜フィルターなどを用いて絞り込みましょう。また、オンラインデータベースに存在しないユニットの場合は、データシートから手入力するのも良いでしょう。

エンクロージャーのシミュレーション

密閉型エンクロージャー

 密閉型エンクロージャーのシミュレーションを行うには、まずRadiator typeをクリックし、Closedを選択します。その後、AlignタブでQtcを選択すると、Enclosureタブのエンクロージャー容積(Volume)が自動的に算出されます。密閉型エンクロージャーのQtcについては、「自作スピーカー エンクロージャー設計法 マスターブック」もしくは「自作スピーカー デザインレシピ集 マスターブック」を参照してください。

バスレフ型エンクロージャー

 まずRadiator typeをBass reflexに設定します。その後、AlignタブのTableからアライメントを選択すると、自動でエンクロージャーの容積とポート共振周波数(Fb)が算出されます。あとは所望の特性になるようにEnclosureタブのVolumeやFbを調整しましょう。アライメントついては「自作スピーカー エンクロージャー設計法 マスターブック」で詳しく説明しています。
 調整が終わったら、ポート径とポート長を検討します。Fbのチェックボックスを入れておくことで、ポート長/ポート径を変更したときに自動で計算してくれます。

さらに高度なシミュレーション

 VituixCADでは、その他様々なシミュレーションが可能です。

ネットワークの影響
 AlignタブのCrossover of Driverにチェックを入れると、メイン画面のフィルタが適用された特性のシミュレーション結果が表示されます。

エッジディフラクションの影響
 AlignタブのDiffraction responceから、エッジディフラクションのデータを入力することで、エッジディフラクションの影響を合成した特性が表示できます。

エンクロージャーの工作精度
 EnclosureタブのQlは、エンクロージャーやユニットからの空気漏れを示します。通常は7.0程度ですが、ウーファーのフェーズプラグ部分や、エンクロージャーの接着部に隙間が多い場合は数値が低くなります。

吸音材の量
 EnclosureタブのQaは、エンクロージャー内部の吸音材等による損失を示します。吸音材の量が多いほど数値が下がります。

最大振幅
 グラフのExcursionは振幅の周波数特性を示します。振幅がXmaxを超えると歪が増大しますので注意しましょう。

ポート流速
 Velocityにはポート内部の流速が表示されます。ポート流速が速いと乱気流が発生し、風切り音となる可能性があります。