2Wayスピーカープロジェクト Śiva Project BS2-WG その5

 低価格でPreference rating 推定スコア6.0以上を目指す自作スピーカーを設計/製作するプロジェクト、その5です。 前回はエンクロージャーの設計が終わりましたので、エンクロージャーを製作していきます。エンクロージャー製作のノウハウは、「自作スピーカー デザインレシピ集 マスターブック」で詳しく解説しています。5作例とも製作工程を丁寧に記載しておりますので、気になる方は是非チェックしてみてください。

目次

板材の加工

直線カット

 今回は910 mm × 910 mmの12 mm厚MDFを用います。一般的な板材ですので、全国のホームセンターで簡単に手に入るでしょう。私の近所のコーナンでは直線カットのみ対応可能で、1カット11円でした。計22カットしましたので、242円の出費です。毎回思いますが、カット代だけで考えると確実に赤字ですよね。

円形カット

 円形カットは以前から愛用している自在錐を使いました。かなり切れ味が良く、電動ドライバでも安定して穴あけできるのでオススメです。

加工した板材

 以下が加工した木材(スピーカー1台分)です。木工が苦手な方には、木材加工業者への依頼がオススメです。ボンドの塗り方やクランプを使った接着方法などは、エンクロージャー設計法やデザインレシピ集に記載していますので、ここでは割愛します。

完成したエンクロージャー

 エンクロージャーを作製し、ユニットを取り付けてみました。固定にはコーナンで見つけた低頭タイプのタッピングビスを使っています。写真からかなりコンパクトであることがお分かりいただけると思います。なお、ターミナルにはamazonで10個2000円のターミナルを使っています。磁石に引き寄せられるので材質面で非常に心配ですが、EPRには影響が出ないと思われるのでこのまま製作しましょう。バスレフポートにはJantzenAudio ダクト P25-102を切断して使いました。

インピーダンス特性

 適当に吸音材を入れた後、Limpでインピーダンス特性を測定しました。特にピークディップもないので、エンクロージャー内部の強い共振は発生していない様子です。

ニアフィールド周波数特性

 ニアフィールド測定を行った後、VituixCADのMergerを使用してユニットとポートの音を合成しました。ポート出力の1 kHz付近にエンクロージャー内部の共振とおぼしきピークがありますが、軸上特性への影響は軽微です。青線がエンクロージャーシミュレーション時の値です。シミュレーションと比較して、全体的に2,3 dBほど低域の音圧が上がっていますので、少なくともLFX1.72以下は達成可能な見込みです。これでEPR6.0以上が見えてきました。

次回予告

 次回はFar Field測定を行います。次回は普段私が指向性の測定に使っている秘密兵器を紹介する予定です。お楽しみに!

補足

 今回はweb連載という事で、かなり省略しています。より実用的な自作スピーカー設計の手法や作例については、好評発売中のマスターブックシリーズ各書にて詳しく解説しておりますので、ご参考いただければ幸いです。

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