『自作スピーカー 測定・Xover設計法 マスターブック』

書籍情報

書名
『自作スピーカー 測定・Xover設計法 マスターブック』
対象
自作スピーカービルダー中級以上
判型
A4 モノクロ114ページ
価格
1,500円(税抜)
発売
2017年4月
著者
Iridium17
発行
SK Audio(同人誌)
店舗
コイズミ無線
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カテゴリー:

説明

目次

本の内容

説明

本書はスピーカーの測定を解説する本です。一概にスピーカーの測定といってもさまざまな種類があります。例えば以下のような目的があり、測定の方法がそれぞれ異なる場合があるので、注意が必要です。

  1. スピーカーを設計するためにエンクロージャーに取り付けたユニットの裸特性(周波数特性、インピーダンス特性)を測定する
  2. 完成したスピーカーの総合特性(周波数特性、インピーダンス特性)を測定する
  3. セッティングしたスピーカーを部屋の特性を含めた特性として測定する

本書で解説している内容は、1.と2.の部分になります。3.はルームチューニングなどの参考にするための方法ですが、本書では含まれません。

スピーカーを自作する際に重要になるのが、購入したスピーカーユニットの特性がどのようになっているか知ることです。測定には主に以下の2つの特性があります。

  1. インピーダンス特性
  2. 周波数特性

本書では測定ソフトウェアとしてARTAシェアウェア)を使う方法を解説します。実際の各種測定には、測定ソフトウェアの他に、オーディオインターフェース測定用マイクなどが必要になります。例えばオーディオインターフェースには「TASCAM US-1×2」、測定用マイクには「Dayton Audio EMM-6」など、実際にスタートするための具体的な商品の紹介と、接続の方法を詳しく解説しています。

自作スピーカーの設計では、まずはウーハーのインピーダンス特性を測定し、ユニットの低域特性を数値化したT/Sパラメーターを算出します。T/Sパラメーターに基づいて、例えば「VituixCAD」などのスピーカー統合設計ソフトウェアに値を入力することで、最適なエンクロージャー容積(Vb)、ポート共鳴周波数(fb)が算出できます(本書では一つ古いソフトウェアSpeakerWorkshopを元に解説)。スピーカーの低域の周波数特性がどのようになるか、事前にグラフを見ながらシミュレーションが可能です。

次に、周波数特性では以下の2つの測定法を紹介します。

  1. マイクをスピーカーから離して中高域を測定する「疑似無響室測定(Far field測定)
  2. マイクをスピーカーに近接させて低域のみを測定する「Near field測定

これら2つの方法によってエンクロージャーに取り付けられたユニットの周波数特性を正確に測定することができます。2つの測定法は、測定時のセッティングが極めて重要なので、スピーカーとマイクの位置関係を具体的に解説しています。例えば、マイクロフォンを付属のマイクグリップに固定する方法は、Far field測定においてはご法度です。測定が完了しても、不正確なデータを取得していることになります。

正常に測定データが得られれば、次にクロスオーバーネットワーク回路が設計できるようになります。本書では、ローパスフィルターハイパスフィルターなど、その原理を解説する「フィルター理論」と、実際にソフトウェアに実測データを取り込んで設計する「実践編」の2つの章で解説しています。ここで重要になるのが「ターゲットスロープ」です。いわば目標になるスロープを設定して設計するわけですが、これが理論的に算出される特定のスロープであることがポイントです。当てずっぽうのスロープを用いてもクロスオーバーの合成結果はフラットになりません。本書ではいくつかのターゲットスロープを紹介します。低次のフィルター(1st order)から高次のフィルター(4th order)まで、回路図と周波数特性、位相特性、群遅延特性などのグラフと共に、そのメリット・デメリットを説明しています。

また、これまであまり解説されることがなかった要素として、クロスオーバーネットワーク設計における重要概念「Electrical slope(電気的特性のスロープ)」と「Acoustic slope(音響的特性のスロープ)」を解説します。この2つの概念の違いを知ることがクロスオーバーネットワーク設計の基礎となります。実は、従来から書籍やパンフレット、あるいはウェブページで紹介されてきた、目的のクロスオーバー周波数とユニットのインピーダンス値の表からなる、いわゆる「ネットワーク計算式」は多くの問題点を持っており、実際に自作スピーカーのクロスオーバーネットワークを設計する際には全く役に立ちません。なぜそのようなことが言えるのか、理論的な理由を本書では解説し、測定データとシミュレーションベースによる設計が必要な理由、そしてその完成度の高さを説明しています。

誌面サンプル

本の構成

  1. 第1章 イントロダクション
    1. スピーカー測定とネットワーク設計の関係
  2. 第2章 スピーカー特性を測定する方法
    1. インパルス応答測定の原理
    2. ソフトウェアとハードウェアの準備
    3. 疑似無響室によるFar Field測定
    4. 近接セッティングによるNear Field測定
    5. スピーカーの総合周波数を求める
    6. インピーダンス特性
  3. 第3章 クロスオーバーネットワークフィルター理論
    1. クロスオーバーネットワーク(理論編)「Electrical slope」
    2. クロスオーバーネットワーク(実践編)「Acoustic slope」
    3. 素子の種類について
  4. 第4章 クロスオーバーネットワーク設計
    1. Speaker Workshopを使ったシミュレーション(基礎編)
    2. Speaker Workshopを使ったシミュレーション(上級編)
  5. 付録

測定機器


疑似無響室測定でのマイクセッティング

 


疑似無響室測定のため延長用ロッドに取り付けられた測定用マイクDayton Audio EMM-6

 


アンプとマイクを接続したオーディオインターフェースTASCAM US-1×2

 

測定データ

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