【自作スピーカー】Fusion360を使用したエンクロージャー構造設計法 前編

 皆さんは自作スピーカーのエンクロージャー設計時にどのようなソフトを使用していますか? 今回は、非商用目的であれば1年間無償で使用可能な3DCADソフトである、個人用Fusion360を使用したエンクロージャー設計方法をご紹介します。

目次

個人用Fusion360のインストール

 以下よりインストール可能です。インストール方法については、公式サイトをご覧下さい。
https://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/personal

今回作成するエンクロージャー

 例題として、縦 200 mm、横 150mm、 奥行き 180 mmで、 板厚 15 mmの2 Way小型エンクロージャーを作成します。12 cmウーハー+ツイーターという一般的な構成になります。

スケッチの作成

スケッチ平面の定義

 まず最初に、バッフル面となるスケッチを作成します。最初に ①スケッチを作成 をクリックし、②の部分をクリックして、スケッチを作成する平面を選択します。

バッフルの作図

 スケッチ作成画面に遷移するので、ここにバッフルの外形を作図します。 ③2点指定の長方形 をクリックし、どこでもいいので一点をクリックすると以下のような図が表示されます。ここで縦横のサイズが指定できますので、縦方向に200、横方向に150を入力し、Enterを押して決定しましょう。(入力中にTabキーで縦横を切り替え可能です。)

スケッチの拘束

 このままではスケッチの位置が固定されていませんので、バッフル底面の中点を原点に指定しましょう。[拘束]の中にある ④中点 をクリックし、⑤バッフル底面の線分 ⑥原点 をクリックします。これでスケッチの底面中点が原点に固定されました。これでスケッチは完成ですので、最後に右上の スケッチを終了 ボタンを押してスケッチを終了します。

ボディの作成

ボディの押し出し

 次に作成したスケッチからボディ(3Dモデル)を作成します。①押し出し をクリックした後、②先ほど作成したスケッチ をクリックします。このままの表示だと押し出す方向が分かりづらいので、③の角の部分 をクリックしてアイソメビューにしましょう。

 これで押し出し方向が分かるようになりました。④の矢印を引っ張るか、数値を入力して奥行きを-180 mmと入力し、Enterを押しましょう。これでエンクロージャー外形となる直方体が出来ました。

シェルの作成

 次に直方体を15 mmの厚みを持つシェルに変換します。まずは[修正]の ①シェル をクリックし、②ボディを選択します。次に ③の矢印 をドラッグし、内側の厚さを15 mmにした後、Enterで決定します。

各板材に分割

板材の組み合わせ

 作成したシェルを板材に分割していきます。今回は側板/天板/底板でロの字を作成した後、バッフルと裏板でサンドイッチする形状にしますので、最初にバッフル面と裏板を分割します。

ボディの分割

 ではこれから分割していきましょう。分割には様々な方法がありますが、今回はシェル内壁を分割ツールとして用いることにします。まずは ④分割 をクリックし、⑤ボディ を選択します。

 次に ⑥分割ツール をクリックし、面を指定します。そのままでは内側の面は指定できませんので、マウスの左クリックを長押ししてバッフルと裏板の内側の面を選びます。分割面が選択できたら、Enterで決定しましょう。同様に側板についても分割すると、計6枚の板に分割することができました。

エンクロージャーのサイズを変更する

 ここまでの工程で基準となるスケッチは1枚しか描いていませんので、エンクロージャーの形状を容易に変更することが可能です。
 例えば、高さを変えたい場合はスケッチを右クリックし、スケッチの編集を選びます。数値をダブルクリックすると再設定できますので、目的の数値に変更し、Enterを押すと、簡単にサイズを変更することができました。

奥行きや板厚は、左下のフィーチャを右クリックすると表示されるフィーチャ編集から変更可能です。 

 一枚ずつ板を作図すると形状変更が面倒ですが、今回紹介した方法だと非常に楽ですね。基本形状となる100×100×100mmの箱をモデルとして作成しておくと、エンクロージャー設計がグッと楽になりますよ!

【自作スピーカー】Fusion360を使用したエンクロージャー設計法 前編 はここまでとなります。次回はスピーカーユニットを取り付けるための穴を作図します。

4 thoughts on “【自作スピーカー】Fusion360を使用したエンクロージャー構造設計法 前編

  1. 川井さま
    お力になれず申し訳ありません。
    オーディオ勉強会ではこのブログの内容についても実演する予定ですので、ご参考いただければ幸いです。
    よろしくお願いします。

  2. だし様

    早速のコメントありがとうございます。⑤でボディを選び③の矢印をドラッグして数値15mmをいれてリターンするのですが、内側の壁がすけてみえるような感じになりません。見えないだけかと思って分割に進みますが、やはり内側の壁ができてないようです。
    とりあえず、スケッチでそれぞれの壁のもとを描いて、押し出しを用いてひと壁づつ作れば何とかなりそうです。
    とりあえずはありがとうございます。WEBの講習も満員にならなければ聞かせていただく予定です。よろしくお願いいたします。

  3. 川井さま
    コメントいただき、ありがとうございます。
    おそらく、ボディではなく、面が選択されてしまっていると思われます。
    3Dモデルではなく、画面左上に表示されている「ブラウザ」内のボディ(記事中の⑤の部分)を選択していただけますでしょうか。
    もしくは3Dモデル上で左クリックを長押しし、親タブ内のボディを選択することでも対処可能と思われます。
    よろしくお願いいたします。

  4. 教えてください。
    スケッチで長方形を描いて、押し出しで直方体を作成し、次のシェルのところで躓いています。
    ボディを選んでも矢印が原点のところに出ません。右の角に出ます。どうも矢印の方向の面だけしかシェルができてないようです。それは再度シェルをやったときに、そでシェルができているようなコメントと内側の円の表示が出てきます。しかし全面はできていないようです。
    よろしくお願いいたします。

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